当直

某医療センターERにて。
17時より翌日朝までの当直についてました。
結局、救急車からのコールはなく、救急外来から1件まわってきたのみ。
先生方は「たまたま件数がすごい少なくて、あまり勉強にならなくてごめんねー」
とおっしゃっておりましたが、
まぁ平和なのはいいことだ。


んで、その1例について。
30台後半の男性、血圧70台、脈拍120台。20時ごろ来院。
前日より突然嘔吐と下痢が出現。腹痛なし。現時点では嘔吐下痢ともに症状なし。
発熱は最初なかったが、来院1時間後に37度台中盤の微熱。
検査値では白血球が46000と高値。CRPは6台。CKも……えーと800台だったかな?
ちなみに搬送前の前医では、白血球は4000台と正常値。
またBUN50台、CRE6台と高値であり、ほぼ無尿であることから急性腎不全が疑われる。
XP、心電図上は特に変化なし。


問題点は、低血圧(+速脈)、急性腎不全、感染徴候といったところ。
最初は敗血症性ショックを疑い、輸液によるボリューム負荷と、
ラシックスによる強制利尿にて対応。
同時に、感染対策としてγグロブリンと抗生剤も投与開始。
21時30分ごろには、血圧は110台まで落ち着き、尿も少しずつ出始めました。
そこで安定したのでひとまずICU(集中治療室)に搬入し、経過観察。


ところが、夜中の2時ごろになり心電図上にST上昇が出現。
感染にしては白血球が46000もあがるのはちょっと疑わしいと考えていましたが、
このST上昇をうけて、心筋炎の可能性が強いということで、循環内科にコンサルト。
まぁショックっぽくなっているということもあり、
より専門的医療ができる病院への搬送を視野にいれて、
翌朝家族に相談、というところまででした。
一応急性冠症候群(心筋梗塞など)も鑑別にあがりますが、
心エコーで心の動きが悪くないということ、
他にそれらしき症状が出ていないことから否定的でした。


まぁなかなかに興味深い症例でした。
ショックに対して大量輸液を行っていたため、
肺がだいぶ水浸しになってしまい、夜中に挿管を行いましたが、
無事急性期を乗り切ってくれるとよいものですが。