某所マジレス

まぁ×治療薬 ○ワクチンに対する抗体というのはほぼ正解ですな。
ウィルスに対する対処法としては、
①あらかじめワクチンを投与しておく
②感染後に免疫力を高める薬を投与する
③ウィルス増殖を阻害する薬を投与する
の3つが主です。
一番効果が高いのは①のワクチンで、つまり予防が一番大事ということ。
感染してからワクチン投与して間に合うのはHBVB型肝炎ウィルス)などほんの一部で、
その場合もγグロブリンというものを投与するなどして、ようやくなんとかなる程度です。
普通は間に合いません。
そして②や③がいわゆる治療薬と呼んでもおかしくないもので、感染後に投与します。


ここで生体の防御反応について軽く説明をば。
生体の防御反応というのは2種類あり、1つは液性免疫といって異物を見境なく排除しようというもの。
そしてもう1つが細胞性免疫といって、こちらは特異性のたかい免疫。
液性免疫は効果範囲が広いのですが、排斥力としては弱めです。
それに対し細胞性免疫はやや特殊ですが、排斥力は強力です。
細胞性免疫を担当してる細胞にはものすごい種類があり、
それぞれが担当する相手が特異的なんですよ。
つまり、V1という異物が侵入してきたとき、それに対する免疫細胞をT1とすると、
T2やT3という細胞はいっさいその異物にたいする排斥力を持ちません。
まぁここらへんは細かくみたらいろいろあるんですけど(担当する異物が変化することがあったり)、
おおまかにはそんな風な感じです。


HIVの場合、前述①のワクチンが効けば一番いいのですが、残念ながらあまり効果がありません。
その大きな理由はおっしゃる通り、むっさ変異しやすいためです。
ワクチンというのは、特異性の高くて強力な細胞性免疫を誘導させるためのもので、
つまり目標となる異物に対する防御力だけを高める方法なんです。
したがって、その肝心の異物が変異してしまったら、
せっかく高めた防御力が、ほとんど意味を持たなくなってしまいます。
そんなわけで、ワクチンがあまり効かないというわけです。


そして次に②の免疫力を高める方法ですが、HIVが免疫機構と一体化してしまうウィルスなため、
こちらも効果がありません。
つまり、免疫が標的をいくら探しても、敵が自分達と一体化してしまっているため、
相手を敵と認識できないというわけです。


というわけで、現在は③のウィルス増殖を阻害する方法が一般的です。
しかし、これにも問題があって、まず薬がむっさ高価であること。
先進国でも一部の患者しかこの治療を受けられず、開発途上国では問題外。
そして投薬はいくつかの薬を組み合わせて使うのですが、この組み合わせによっては、
食事の制限や1日4時間以上寝られないなどの制限があり、
患者にとってはなかなかい厳しい治療であること。副作用も多いです。
何よりも、服薬がもし一定期間途切れてしまうと、治療は失敗してしまい、
残ったウィルスが薬剤耐性となり、完全に治療不可能になってしまうということ。
ここでも、変異しやすいという特性が問題になっているわけです。
ま、以上がHIVの治療が困難な理由ということですね。
長々とマジレスしてしまいましt(ry